DX(デジタル トランスフォーメーション)は3年前から急激に話題が上がり、自治体を始めとする多くの事業で進められています。最近では「dx とは」で月間10万〜100万件も検索されています。
DXのメリットについては多くのサイトで解説されていますので、今回はDX化をするにあたっての課題やDXの注意点に重きをおいて解説していきます。
DX(デジタル トランスフォーメーション)とは
DX(Digital Transformation)とは、IT技術を用いて”事業をより効率的に”、”業績を効果的に”変化させる理論です。
Googleトレンドで「デジタルトランスフォーメーション」と検索されている検索ボリュームを調べると爆発的に世間に広まっていることがわかります。
日本で話題に上がったのは2018年、経済産業省がDXを推進するガイドラインを発表したからです。
ガイドラインには原状における企業の問題点が挙げられています。
- 既存システムのブラックボックス化
- ユーザ企業におけるIT人材不足
引用:経済産業省「DXレポート」
ユーザ企業は自社の事業のためのシステムを運用企業のことであり、対義な企業としてベンダー企業があります。ベンダー企業はシステムを製造・販売・運用する企業のことです。
それではこの問題点2つについて詳しく解説します
既存システムのブラックボックス化
現在多くの企業で事業に対応したシステムを運用しています。開発されたシステムに新たな機能を追加する場合があります。この際に既存システムについて理解せずに開発を進めた場合や開発者が次の運用者にうまく引き継げなかった場合にシステムがブラックボックス化します。
ブラックボックス化したシステムは原状滞りなく運用できていることから、その場しのぎのメンテナンスを繰り返されることが多いです。開発から時間が経つと、一部のシステムを変更する場合でも繰り返されたメンテナンスにより複雑なプログラムの全てを理解することが必要になってしまいます。
メンテナンスによる問題の常に先延ばしではなく、そもそもの問題であるブラックボックス化を解消しない限りはシステムと共に事業自体が崩壊してしまいます。
まずはそのシステムについて開発目線で理解し必要な箇所は改善しドキュメントをまとめることでブラックボックス化を解消する必要があるのです。
ユーザ企業におけるIT人材不足
これは自社のシステムの保守・運用をベンダー企業に委託していることで問題が発生します。
ユーザ企業がIT企業でない場合、社内にエンジニアがおらず保守・運用を全て丸投げする場合が多いです。こうなるとベンダー企業に支払う費用が膨れ上がります。それによってユーザ企業は自社のIT人材に費用を割く余裕がなくなる悪循環に繋がります。
自社のIT人材が不足している限りは”DX”をする場合でもベンダー企業に委託するほかなくなります。委託契約では徐々に変化させていくことは難しい上に、機能追加をする場合はさらに膨大な開発コストが必要になってしまいます。
ベンダー企業からユーザ企業に出向する場合もあります。ですがベンダー企業によるマージンにより、IT人材自体に支払われるべき賃金が減少してしまいます。その結果、IT人材の確保がさらに難しくなり、システムの運用自体ができずDXの失敗に繋がる可能性が高まってしまいます。
この問題は多くの企業が抱えており、
- IT人材のための費用を確保する
- 自社のIT人材を採用・育成する
- スキルに見合った賃金を支払う
という工程全てを完了できない限り解決するのが難しいと考えられます。
DXにおける注意点
DXを進めようとするにあたって、ユーザー・クライアント・従業員・事業全体あらゆるところでデメリットが生じることがあります。
委託事業者に丸投げ問題
IT企業ではない場合、現存業務のどこをDX化させれば良いかわからないと思います。しかし委託業務企業に丸投げするのは危険です。
委託事業企業が業務の全てを理解しているわけではありません。なので、要件定義から設計までの工数が増えてしまい必要以上のコストがかかる可能性があります。
ベンダー企業に完全委託することでユーザ企業・ベンダー企業どちらも訴訟にまで繋がっている事例があります。
DXを進める前に必ず事業をどのようにDX化するべきなのかを必ず確認するようにしてください。
IT人材の賃金問題
元々、経済産業省が掲げた目標の一つに
2017年のIT人材平均年収が約600万円であり、既存システムの維持・保守業務から最先端のデジタル技術分野にシフトすることで、米国並みの2倍程度に
引用:経済産業省「DXレポート」
と、あります。しかし、現存システムを安直にクラウドサービスに切り替えるだけで作業効率が上がるわけでない名ばかりDXを進めると業務が増えるだけで終わってしまいます。
これではIT人材に充てる賃金が増えるはずもなく新たなIT人材も確保することもできないので、IT人材の負担が増えるだけで最悪の場合離職に繋がる原因となります。
まとめ
今回は、今や企業の常識にもなっている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について注意点に着目して解説しました。
DX化を進めることで、業務の効率化や業績の向上、さらなるビジネス展開まで期待できます。
しかし、DXをする上で業務の全てを一気に変更させることは望ましくありません。徐々にできるところから変更することが推奨されています。誤った進め方をするとIT人材に大きな負担がかかってしまい、DX化で事業展開を狙っていたつもりがマイナスに働いてしまう可能性もあります。
また、DXを進めること自体が目的化して、むしろ業務が複雑になったり利益の出ない業務が増えてしまう可能性もあります。正しくDX化を進めるためにも専門のコンサルタントに相談することやDXを進める事業に合った企業に依頼を設けることをおすすめします。